太宰治著『ロマネスク』の中で、仙術太郎が仙術を使うためには「面白くない、面白くない…」ととなえるのだという。
実際、この方法で仙術が使えるかなどわからない。そもそも、このお話はロマネスク、作り話である。
しかし、学校、会社、モテテク、転職面接必勝法、成功者の自伝、定年後孤独にならずにイキイキしてる人の極意、しょうゆラーメンかとんこつラーメンか、おすぎとピーコ存命中なのはどっちだっけ? という世の中の人々が騒いでいることのほとんどが「面白くない、面白くない…」という人にとっては、これが救いになるのだ。
すなわち、そう思うあなたこそ真理に近いという訳である。だから、『ロマネスク』は、ある種の人々にとってバイブルである。